前谷康太郎は、青空や夕日といったありふれた日常的な映像を用いながらも、最近の若い作家には珍しく、情緒を排した抽象性の高い作品を制作しています。「光としての映像」とでもいうべきその作品は、時間や存在の認識、記憶、言葉の持つ構造などを扱った概念的なものでありながら、シンプルで潔い美しさを備えています。前谷はこれまで、古い倉庫や店舗などをそのまま活かした個性的な空間での展示を多く行ってきましたが、<parallel>と題された今回の個展では、よりニュートラルで美術のために整えられた空間への展示に意欲的に取り組みます。