ドイツと国境を接している、フランス北東部のアルザス地域圏の首都ストラスブールは、10館にも及ぶ美術館・博物館を擁し、古代の彫刻や絵画、近・現代美術、装飾美術をはじめ、考古学、民族学、歴史、動物学に至る多岐にわたるコレクションを所蔵しています。
中でも、建築家アドリアン・ファンシルベールの設計で1998年に開館したストラスブール近・現代美術館は、欧州評議会やEUヨーロッパ議会のある今日のストラスブールの顔として、またヨーロッパの未来の象徴として構想された重要な美術館です。コレクション総数は18,000点にも及び、その内容は、印象主義から現代の新しい美術の動きまでを網羅したもので、その規模は、パリ以外ではフランス最大の近・現代美術館といえます。
本展は、ストラスブール近・現代美術館のコレクションを中心に、コルマールのウンターリンデン美術館、香川県立ミュージアム、小野コレクション(福井市)等からも貴重な作品をお借りし、シスレー、ゴーギャン、ボナール、マリー・ローランサン、マグリット、ピカソ他59作家83点(小野コレクションの賛助出品等を含めると60作家97点)の作品によって、近・現代ヨーロッパ美術を紹介するものです。
本展では、19世紀後半から20世紀後半までのほぼ1世紀の間に活躍した作家の作品を、「象徴主義」、「印象主義からフォーヴィスムへ」、「キュビスムとエコール・ド・パリ」、「両大戦間期の写実主義」、「抽象からシュール・レアリスム」、「1960年以降、コンテンポラリー・アート」の六章に分けて紹介いたします。