このたび、日本画壇の巨匠たちが描いた「麗しき女性の美」展を開催いたします。
女性像は古代から現代に至るまで数々描かれ続けてきた永遠のテーマの一つです。やまと絵や浮世絵などから優れた佳品を生み出し、近代になると「美人画」というジャンルを生んで、多くの画家たちが女性を様々な角度から描きだしました。
上村松園の登場は美人画を美術の中心的テーマへと押し上げます。その一方で、大正期にはより女性の内面的な部分を直視し、人物の性格や人生の悲哀をも表現しようという作家たちもあらわれます。昭和に入って時代の変化に敏感に反応する女性のモダンな風俗や、女性美が集約された典型的なテーマとしての舞妓、そして美術における理想的なフォルムを持つものとしての女性など多様な視点からの表現が生れてきます。
本展では上村松園をはじめ、池田蕉園、徳岡神泉、北野恒富、菊池契月、中村大三郎、寺島紫明、前田青邨、秋野不矩、広田多津、堂本印象、橋本明治など錚々たる日本画家による多彩な女性像を展観いたします。これらの作品は京都市美術館のコレクションを中心に東京国立近代美術館の作品も加えた約70点で、多くの作品は帝展や国展、日展などに作家が出品した自信作です。近代日本における女性像の変遷とその美をあらためて見直す機会にしたいと思います。