マックス・エルンスト(1891-1976、ドイツ、ブリュール生まれ)は、ダダ、シュルレアリスム(超現実主義)という芸術運動の中心的な人物として世界的に知られる芸術家です。
エルンストは、互いに関係のないイメージをつなぎ合わせたり(コラージュ)、木の板などの者の上に紙をあてこすりだしたり(フロッタージュ)するなどの間接的な技法の数々を発見し、発展させることで、20世紀の美術にあいて新たな表現をしつづけ、作品を制作しています。
特に彫刻は、幻想的な観念をかたちにするために、植木鉢やバケツといった日常的にあるものを使って実験と制作を繰り返し、絵画作品と同様に彼独自の生き物のかたちを数多く生み出しました。 風刺的で、ユーモアに満ちた姿を持ったこれらの作品は、芸術という粋を越えて見る者の心に入り込み新たな発見と感動を与えてくれます。
この展覧会は、画家エルンストとしての初期から晩年にあたるまでの油彩作品や、コラージュなどの平面作品にあわせて、いままであまり紹介されることの無かった彫刻作品の全貌もご紹介します。
また今回の出品作品の核をなすのはエルンストの妻であったドロテア・タニング氏の所蔵作品です。
画面にドロテアの頭文字であるDが描かれていることでD-ペインティングとよばれる作品は、エルンストからドロテアに毎年誕生日ごとに贈られました。
これらが、初公開の作品を多く含んで国内最大規模で公開されるほか、エルンストの関わった本や雑誌などの印刷物、写真も多数出展し、今までに無い幅広い構成でマックス・エルンストの魅力に迫ります。