三重県北勢地方には大安町という町があります。この町名は南都大安寺の食封が「員弁郡宿野原」にあったことにちなんで、昭和34年に名づけられたのでした。当館の名称「パラミタ」の由来となった『般若心経』も観音菩薩と深い関係があり、奇しくも、当館には「長快作 長谷寺式十一面観音像(鎌倉時代)」が常設展示されています。
おそらく、観音菩薩ほど私たちに身近な仏さまは居られないでしょう。じつは、世界中を見渡しても、日本ほど観音菩薩像が沢山制作された国はありません。なぜ、わが国にだけこれだけ観音信仰が盛行したのでしょうか。
本展では、地元ゆかりの大安寺の名宝と歴史、そしてわたしたちにとって、もっとも身近な仏さまである観音菩薩の名作を約50点(内重要文化財14点)を展示し、その中に日本の心の原点を探ってみたいと思います。