荒谷直之介(1902-1994)は、富山県高岡市に生まれました。
1914年(大正3)画家を志して上京、川端龍子、鶴田吾郎のスケッチ倶楽部に入り、通信指導を受け、1918年(大正7)からは水彩画家・赤城泰舒に師事します。その後、東京葵橋洋画研究所に入り、黒田清輝の指導を受けました。1920年(大正9)に荒谷は日本水彩画会展に初入選し、その後は水彩画家として日本水彩画会展、一水会展を中心に作品を発表しました。1940年(昭和15)春日部たすく、小堀進らとともに水彩連盟を結成し、以後、身近な人々や豊満な裸婦などを描いた人物画にその才能を発揮し、一貫して水彩画を発表し続けました。
1968年(昭和43)に佐倉市上志津に転居し、1994年(平成6)に亡くなるまで同地で制作活動をしました。
2012年(平成24)は、荒谷の生誕110年の年にあたります。そこで、今回の「佐倉・房総ゆかりの作家たち」では、荒谷の作品と、荒谷と水彩連盟を結成するなど共に活動した小堀進、また、浅井忠や彼の教え子で、京都の風景を柔らかに描いた長谷川良雄など、水彩画に特徴を発揮した当館所蔵の作家の作品を紹介し、水彩画の魅力に迫ります。