開館50周年を記念する「近代日本美術史・再読」展の第3部として、近代美術館所蔵の版画から精選した1930~80年代の版画約80点を展示します。1930年代に創作版画活動の中で独創的な版画を生み出した谷中安規や藤牧義夫、斬新で繊細な版画で登録した加納光於や浜口陽三、1950年代後半から60年代にかけて世界的に活躍した棟方志功や池田満寿夫、熊本や北海道といった「地方」で制作し、優れた芸術を確立した浜田知明や一原有徳、さらに、現代人のクールな感性が光る深沢幸雄や野田哲也の作品が採り上げられます。この展覧会を通して、戦前、戦中、戦後と版画の表現が遂げた激しい変貌と、豊かできめ細やかな日本人の精神性、感受性を十分に感得されることでしょう。