1994年に始まったVOCA(ヴォーカ)展は今回で19回目を迎えます。VOCA展は全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、これまで数多くの新しい才能を発掘し、送り出してきました。
「VOCA展2012」には34名の作家が出品しています。このなかから7名の選考委員によりVOCA賞1名、VOCA奨励賞2名、佳作賞2名が選ばれました。また、大原美術館賞が館の選考により決定しました。
本展には絵画のほかにも写真、映像、半立体的な作品と、さまざまな素材と手法を用いた作品が並びます。それらは一見混沌とした多様性を見せていますが、多くの出品作に共通するのは、絵画とは平面作品とはなにか、という根本的な問いから出発していることでしょう。
たとえば、自分が生きる「世界」の見方と描き方を原理的に問う絵画、美術の歴史を参照しながら、描く行為そのものをテーマにした作品、また、デジタル技法でオーソドックスな絵画の描法に迫るものなど、注目すべき試みが随所に見られます。
それぞれの作家が絵画や平面作品の新しい可能性に真摯に取り組んだ、個性豊かな成果を「VOCA展2012」でご覧ください。