井田照一(1941~2006)は現代美術作家として、1960年代の中頃より、京都を拠点に国内外で活躍を続けてきました。彼は版画をはじめとして、油彩、ペーパーワーク、ブロンズ、陶などを手がけながら、独自の表現活動を展開しています。
井田照一の作品は主に抽象的なスタイルで、人間についての哲学的な関心に基づいています。彼は人間の生命や精神を主なテーマとして、生と死の問題や、人間と周囲の世界との関係などについて、直感的に捉えたことを表現しようとしています。
自分と外界との関係を探究する中で、井田照一は粘土の手応えや、泥土に残る手の痕跡に注目して、土を使う表現活動に進むことになりました。1980年代から晩年にかけて土に挑み、1990年には信楽で陶板を使った大作も制作しています。
本展では、作家のスタジオに残されていた、6点の大作を含む、土による作品など約50点を展示し、井田照一の芸術を紹介します。