歴史を学ぶには、その基盤として信頼できる史料集の編さんと刊行が不可欠です。東京大学史料編纂所では、明治以来、国の内外から史料を収集して研究史、『大日本史料』や『大日本古文書』などの基本史料集を刊行してきました。事業の過程で集まった古文書・絵図・絵巻など多くの史料は、史料として質が高いばかりでなく、美術的に優れたものも含まれていますが、これまでまとめて展示したことはありませんでした。
今年は、史料編纂所が基本史料集の刊行をはじめてから100周年にあたります。これを記念して行う本展覧会は、史料編纂所と東京国立博物館の所蔵品を中心に、公家日記、武家文書、国絵図など150余件を一堂に展観します。「紫式部日記絵巻」、源頼朝以来の武家文書の白眉「島津家文書」、「倭寇図巻」など歴史の教科書でもよく知られたものを間近にご覧いただくことで、歴史の動いたその時を感じることができるでしょう。このほか、史料編纂所の歩みをご紹介し、さらに、史料編纂所が蓄積した歴史情報データベースと史料解析の結果をデジタルミュージアムでご覧いただきます。普段は研究者しか目にすることのない貴重な史料を、この機会にひろく一般の方々にもご紹介し、過去との出会いを体験していただければ幸いです。