北海道立帯広美術館では、美術館の立地する「道東の美術」、バルビゾン派を中心とする「西洋の美術」、そして国内外の版画を中心とした広範な分野の「プリントアート」を収集の柱としています。現在、19世紀フランスを主としたポスター約250点、版画と写真約300点を所蔵しています。
産業革命後のヨーロッパでは、資本主義社会の発展にともない、旅行やスポーツ、観劇などの娯楽、さまざまな商品の宣伝目的のため大型のポスターがさかんに制作されました。カラー・リトグラフの技術が、多色刷りの色鮮やかな表現を可能にし、シェレやミュシャ、ロートレックらが活躍し、19世紀末には、華やかなポスター芸術の黄金時代を迎えます。
そして、今日、版を用いた表現は、多様化し、版画という領域におさまらなくなっています。従来の版画技法に新たな手法を併用して制作された斬新な作品、写真やコンピューターなど、さまざまな方法の使用によって版表現の可能性を切り開いた作品が次々と生み出されています。
今回の展覧会では、当館の所蔵品の中からヨーロッパのポスターと現代の作品およそ約70点により、プリントアートの魅力をご紹介します。