八王子市夢美術館では2009年に「つみきのいえ」で、米国アカデミー賞短編アニメーション賞を獲得した加藤久仁生の作品を紹介します。市内大学である多摩美術大学出身の加藤久仁生は在学中から自主制作で頭角を現し、その描写力と世界観は大きな注目を集めてきました。約1年間を費やした「つみきのいえ」では、静けさの漂う映像に心温まるストーリーが展開され、世界各地で大きな喝采を浴びました。
本展では、「つみきのいえ」が生まれたきっかけであるスケッチや絵コンテ、さらには同名のベストセラー絵本の原画を展示し、その制作の過程をたどりながら、作品の余白にあふれる魅力を体感します。加えて、「つみきのいえ」以降温めてきた構想も公開し、現在絵本雑誌「MOE」(白泉社)で連載中の「あとがき」のスケッチや原画を紹介するとともに、本展のために制作した7話からなる新作短編アニメーション「情景」を披露します。さらに、展示ディスプレイはデザイナーの小泉誠氏が一部構成。また、関連企画として「つみきのいえ」の音楽を担当した近藤研二氏が参加する「栗コーダーカルテット」が、近隣のいちょうホールにて公演します。加藤久仁生の静かで温かな表現に触れる、またとない機会をお楽しみ下さい。