重要文化財 呉春筆「白梅図」屏風を特別公開いたします。
薄く藍色に染めた絹地の屏風に三樹の白梅を描いたもので、梅は古くから文人が好んだ画題です。文人趣味を踏まえているものではありますが、梅の姿を描くことに加えて、ここでは梅樹の内に含む生気を意識して表現し、写生画の特色があらわれています。
呉春(1752-1811)は、江戸中、後期の画家。本姓は松村、号は月渓、允白などがあります。初め大西酔月に絵を学び、次いで与謝蕪村に俳諧、絵画を学びました。天明元年(1781)、摂津池田に住み、池田の古名「呉服(くれは)の里」に因み呉春と称しました。天明末頃、作風を蕪村風から写実的な応挙風に転じ、さらに両者を融合して新様式をつくりました。
重要美術品 呉春筆「秋夜擣衣図」は、蕪村風に応挙風を融合してできた作品で、月下に擣衣の風景に閑寂優雅の境地が合わされている世界が表現されています。
今回の展示では、蕪村に学んだ俳画「奥細道画賛」や南画「木樵山水図」の作品、応挙に学んだ写実画「桜花遊鯉図」の作品などをあわせて紹介いたします。