『注文の多い料理店』『やまなし』『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など、数多くの童話や、「雨ニモマケズ」などの詩作で広く親しまれている宮沢賢治(1896-1933)。
岩手県に生まれ、2度の大きな震災を経験した賢治にとってその生涯は、天災と凶作に悩まされたものでした。そんな苦しい世相の中で、賢治の心には、岩手県をイメージしたといわれるドリームランド、架空の理想郷「イーハトーブ」がありました。「イーハトーブ」を目指す独自の世界観で綴られた詩や物語は、今日に至るまで多くの芸術家たちに視覚的・聴覚的インスピレーションを与えています。
本展では、賢治作品に添えられた挿絵原画約250点に加え、賢治自身による水彩画や関連資料などを展覧。苦難の時代に希望の光を灯しながら作りだされた宮沢賢治の宇宙は、いま震災被害から立ち直ろうとする私たちにとって、常に心を明るく照らすための糧となるでしょう。