海を越えた遠い異国の風景は、これまで多くの日本人画家たちを魅了してきました。
パリに留学し、その短い生涯を彼の地で終えた佐伯祐三(1898-1928)は、ポスターや看板の文字が印象的なパリの街角を独特の荒いタッチで描きました。54歳の時に北欧を訪れた東山魁夷(1908-1999)は、森林と湖に代表される北欧の自然に魅せられ、静けさと透明感に満ちた清澄な風景画を確立しています。北京の風景を愛した梅原龍三郎(1888-1986)は、同地を度々取材し、色彩の対比が鮮やかな紫禁城の連作を制作しました。
本展では、画家の視点から見た様々な異国の姿を、新潟県立近代美術館・万代島美術館の所蔵品から選んだ約70点の日本画、洋画によりご紹介します。異なる風土や文化に対する画家たちの憧れや驚き、そこから生み出された個性的な表現の数々をお楽しみ下さい。