東京都写真美術館では、当館のコレクションに基づく展覧会「光の造形―操作された写真」を開催いたします。
日本語ではphotographyを「写真」(=真を写す)と書きます。写真技術が輸入された頃の幕末の人々は、現実にあるものをそのまま平面に置き換えることできる、この技術を表す言葉として「写真」を選びました。しかしこの単語をそのまま訳すのであれば、photo(光)とgraph(画)で「光画」と訳されるべきだったのかもしれません。
「操作した写真」というタイトルから、なにか手を加えて現実をねじ曲げ、偽りの出来事を伝える物というネガティブな印象をうけるかもしれません。しかし「光を利用した画を造る」と書くと印象は随分と変わるのではないでしょうか。本展では、さまざまな目的で、撮った写真をそのままプリントにするだけではなく、その過程で、加える(彩色写真など)、イメージを組み合わせる(コラージュ、フォトモンタージュ、多重露光、リフレクション、雑巾がけ)、切り取る(トリミング)といった技術を使った作品を展示します。
今では、パソコンを使って、即座に出来てしまう技術もありますが、写真が発明されてから、理想の世界を求めて工夫を続けてきた写真作品を通じて、今の時代にも繋がる写真家の思いを受け取ることが出来るでしょう。