遠山記念館の遠山邸は、日興證券の創立者遠山元一が建てた昭和初期を代表する伝統的和風建築である。存在感の強い外観に、内部には落ち着いた和の空間が広がっている。
現代では再現不可能な建築として、2000年には国の登録建造物文化財となった。
1936年の竣工、本年で築後76年となり、3/4世紀の歴史を重ねてきたが、増改築をせずに当初の姿をよく伝えている。
昨年より建築研究の諸氏にお願いをして邸宅の建築学的な調査と検証を進めており、途中の一成果として、建築図面、建設中や完成直後の写真類などの建築関係資料を初公開するのが本展である。
戦前の私邸建設の資料として貴重であり、個人の邸宅レベルを遙かに超えた完成度の遠山邸が、建設されていく過程をうかがい知ることのできる展観としたい。