とかく難解と敬遠されがちな現代美術。しかしそこには、その時代に生きる表現者として、社会と、そして自分自身と真摯にむきあった作家の強い思いが込められているはずです。作品と静かに相対する時間をもち、時には声高に、時には沈思黙考のなかにひそむ作家の声に耳を傾け、また私たちひとりひとりがこころに秘めている思いを作品にむけてうちあけて欲しい。本展は、そんな思いから企画されています。今年3月に改修工事休館を終え、今年度新たに活動を再開するにあたり、世田谷美術館では、1986年の開館以来、折に触れて収集してきた主として70年代以降に制作された作品およそ130点をとりあげ、八つの章と二つのコーナーによって構成し、全館展示いたします。また、これら現代美術作品と皆様との豊かな交流をめざして、展示の最後に体験・ワークショップのコーナーを設けるほか、さまざまな年齢層の方に楽しんでいただける多彩なイベントやワークショップを用意しております。これまであまり展示される機会の少なかった大型作品をふくめ、世田谷美術館の知られざる側面にふれていただき、皆様に作品との「対話の時間」をもっていただければ幸いです。なお、本展は世田谷区制80周年の記念事業の一環として実施されるものです。