古筆切とは、一般に平安~鎌倉時代の貴族の贈答品であった歌書の巻物や冊子が、1紙、1頁、さらには数行に切断分割されたものを指します。室町時代以降、茶の湯の掛物や、手鑑(筆跡アルバム)に仕立てて鑑賞しようとする、多くの人々の需要に答えて分割されたものでした。やがて、これら歌切のほか、経切や記録切などその内容は多様化します。
この展覧会では、根津美術館所蔵の古筆切の掛物や手鑑約45件を展示し、ともに楽しむために分割された古筆切の、切断の事情や命名の由来に思いを馳せるとともに、それぞれの古筆切固有の美しさをお楽しみいただきます。