鹿児島の近代美術は洋画を中心に語られることが多いのですが、日本画の分野でも多くの画家たちが活躍しています。本展覧会は、鹿児島ゆかりの日本画家たちの作品を所蔵品から紹介するものです。全24点の出品作品のうち最も多い16点を展示する満田天民(1905~1985)は鹿児島市出身です。戦前の南国美術展で活躍しましたが、1939(昭和14)年、関西に移住して花鳥画と風景画に穏健で親しみやすい作品を残しています。南国美術展は戦後、南日本美術展へと発展的に継承されるのですが、その両展で審査員をつとめ、鹿児島の日本画を牽引したのが京都で山元春挙に学んだ河本其山(1875~1957)と富岡鉄斎に私淑した丸田竹濤(1892~1964)です。本展ではさらに、水墨画に洋風の写実表現を融合した古城江観(1891~1988)や山内多門と川合玉堂に学んだ山下巌(1898~1977)と野添草郷(1897~1985)、荒木十畝の門人であった松井黎光(1900~1974)、其山亡きあと南日本美術展日本画部門の審査員を務めた村永定観(1919~1992)などの作品を紹介します。多彩な近代日本画の表現をお楽しみください。