絶妙な色彩構成とともに童心の奔放さをあわせ持つパウル・クレー(1879-1940)。音楽のように,絵画によって純粋に内面的な響きを奏でようとしたヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)。20世紀を代表する芸術家である二人の作品を中心として,ユーゲントシュティールから表現主義,そしてバウハウスにいたる20世紀前半のドイツ語圏の美術を,宮城県美術館(2011年で開館30周年)と宇都宮美術館(2012年で開館15周年)の二館の所蔵による,総数約260点に及ぶ作品によってたどります。
本展は,両美術館が所蔵するクレーとカンディンスキーの全作品が,会期中展示替えなく公開される初めての機会となります。またグスタフ・クリムトやエゴン・シーレ,オスカー・ココシュカら重要な作家の作品や,バウハウスの家具などのプロダクト・デザインも含まれます。
この展覧会は,「美術館の時代」ということが盛んに言われた1980年代から,今日までの歩みの中で日本の二つの美術館が培ってきた成果(コレクション)が,新たな視点のもとに構成され一つの展覧会として結実したものです。なお、この展覧会の企画は宮城県美術館,宇都宮美術館,新潟県立万代島美術館の三館が共同で行いました。