鹿児島のシンボルである桜島は、険しくそそり立つ稜線や海上に浮かぶ広大な裾野の形態から雄々しく堂々とした印象を与えます。また、繰り返される噴火・噴煙から強大な大地のエネルギーを感じさせます。このような特徴を備えた桜島は、近代以降、多くの画家を魅了し、個性豊かな絵画表現へと駆り立ててきました。
本展では、これまで多くの画家によって描かれた桜島の名品を、一堂に紹介いたします。一つ一つの作品には、さまざまな表情を見せる桜島の一瞬が捉えられ、画家の目と心と技を通して豊かな表情を呈し、多彩な魅力をみせてくれます。桜島という同じモチーフのなかに、画家たちの様々なアプローチによる表現の違いを感じ取っていただける展覧会です。中でも数回にわたり鹿児島を訪れ、力強い色彩とタッチで桜島の連作を描いた梅原龍三郎による作品8点や、モノトーンの色調で迫力ある大画面に桜島を捉えた横山操《炎々桜島》と加山又造《煙雲轟々》などは桜島を描いた名作として知られています。その他に曽宮一念、田村一男、西山英雄など桜島を繰り返し描いた県外の著名な画家や、黒田清輝、和田英作、海老原喜之助など郷土ゆかりの画家、計32名が描いた約70点の絵画作品を展示します。
県内の方々はもとより、九州新幹線全線開業を機に、全国の方々にも桜島を見つめた画家たちの多彩な表現を味わっていただくとともに、桜島や鹿児島の自然・文化もお楽しみいただければ幸いです。