3年毎に発表する内海聖子の新しいミクロコスモス。ボールペンの微細な丸が、集積することによってミクロの世界へ誘う。その極微的、偏執的営為そのものに人を惹きつけるものがあり、それらが鋭角的にも立体的にも、粘性をもった姿態ともなり、凝視すれば、作家の内奥の宇宙的な無限の旅の同行者となる。そうした内海の内的風景にも変化が現れてきた。それは徹底と脱力という反するものを感じさせ、表現の幅の拡がりへと繋がってきた。それは、作家として自らの文体を獲得したという証左であり、ギャラリー空間全体を使っての内海聖子の世界を楽しみにしている。島田 誠