1970年代の一時期、池田満寿夫はフロッタージュと水彩による絵画を多数制作しました。フロッタージュとは凹凸面に紙を当て、筆記具で模様をこすりとったり、印刷物のインクを溶剤で別の紙に滲みこませる転写の方法です。転写された既成のイメージは、水彩と混じり、にじみ、溶けあい、より夢想的な情景へと私たちを誘いこみます。その奥に「通俗」と「気品」との境界を超えた、妖しく優美な世界を覗きみることができます。
近年の新収蔵品を含む〈水彩・フロッタージュ〉約30点と関連資料を一挙公開するこの機会に、ぜひご来場ください。