広島在住の作家、鈴木たかし(b.1948-)は日本の大学で建築を学んだ後、イギリスに渡り芸術大学で美術を学びました。1982年に卒業後、2004年に帰国するまで長くイギリスを拠点に活動してきました。作品の形態は、初期の環境彫刻的なものからレリーフ作品、色彩に重きを置いた平面作品へと変遷してきました。また自身の表現に向き合うなかで、近年は作曲を手がけています。
その表現の多才さに目が行きがちですが、作家自身が追及しているのは、作品そのものというよりむしろ作品制作に向かう精神状態だと言います。それは、作り手の精神の問題と同時に、作品の受け手である私たちの意識の問題を示唆しているようです。作家自身のこころが赤裸々に積層されながら、しかし寡黙な表情をもつ作品を目の前にした時、我々は何を感じることができるでしょうか。
本展覧会では、1980年代のレリーフの作品から最新作の作品までをご覧頂予定です。
一人でも多くの方に作品と対峙して頂き、何かしらの共鳴・共振を感じとって頂ければ幸いです。