武蔵野美術大学美術館では11月28日(月)から12月24日(土)まで、本学の各研究室に所属し、教育、研究の一翼を担っている助手による展覧会を開催します。今回は11学科42名の助手が関わり、造形メディアの多様性と新しい世代の可能性を表現した美術、デザイン全般に渡る制作、研究の成果を発表します。
助手展は1975年から始まり、当館の企画展の中でも長い歴史を持っています。また、特色として助手自らが企画・運営を行い、年ごとに新たな試みがなされています。
本展では、出展者の多様な専門領域に対応した研究発表の場の創出が目的とされ、助手の活動を総体的に伝えるために「energy」というキーワードを掲げています。「energy」は、日本が抱えるエネルギー問題や、恵み、あるいは災害としての圧倒的な自然の力、また、万物がもつ生命力などを連想させ、東日本大震災以後の社会のあり方を問う重要なキーワードといえます。一方で、そのような社会背景に留まらず、次代を担う若きクリエーター、アーティストでもある助手にとって「energy」とは、創造性に満ちた自身の活動そのものを指し示すキーワードでもあります。
今年度は、本学の津村耕佑教授と原研哉教授を企画協力に迎え、一線で活躍するアーティスト、デザイナーとの対話を通じてより社会に開かれた展覧会を目指しています。教育現場の最前線かつ、社会との接点である美術大学で日頃研究に励む助手が「energy」に向き合いながら生み出される作品の数々は、私たちが生きている現代を象徴しながらも、現状確認に陥ることなく、その感性豊かな創造力によって新しい社会の可能性を提示してくれることでしょう。