明治6年に愛知県に生まれ、岐阜で育った川合玉堂(1873-1957)は、円山四条派と狩野派を融合し、日本画壇において新たな境地を開拓しました。若い頃から線や墨の表現を重視し、四季の自然を描いた郷愁あふれる風景画で名を高め、その後も、自ら目にする田園や山岳の風景に深い愛着を寄せ、詩情豊かな、われわれの誰もが思い描く、懐かしい風景を描き出していきました。
本展は、近代日本画の大家である玉堂の仕事を振り返り、この画家が今の時代に残した風景像を探訪する大規模な回顧展となります。玉堂の生涯を《山水画の時代》《風景画の時代》《情景画の時代》の三期に分け、代表的な作品によって紹介します。