城西国際大学のキャンパスの一隅に、四季折々の草木を万葉歌とともに楽しむ「万葉の杜」があります。このたびキャンパス自然環境向上プロジェクトの一環として行った、このささやかな憩いの場の再整備を記念し、万葉をテーマにした展覧会を開催します。
わが国最古の歌集である『万葉集』には、5世紀頃から8世紀にかけて詠まれた4500首余りの詩歌が収められています。古代の自然風土、人々の営みや祈りが力強く、率直に表された万葉歌は、今なお日本人の精神文化の原点であり続けています。こうした万葉歌や万葉の時代をモチーフにした絵画は、安田靫彦、平福百穂、冨田渓仙など、おもに近代以降の『万葉集』に造詣の深い画家たちにより描かれてきました。
このたびの展覧会では、近現代の画家による、額田王や柿本人麻呂、大伴家持などの代表的な歌人を描いた人物画をはじめ、詠われた情景、ゆかりの地を描いた作品、万葉植物を描いた花鳥画を万葉歌とともにご紹介します。どのモチーフを選び、どう描いたのか――画家それぞれの古代への憧れが結実した作品は、私たちの心に強く響くことでしょう。本展が、万葉歌に親しみ、いにしえの飛鳥・奈良時代へ思いを馳せるきっかけとなれば幸いです。