2011(平成23)年は、太平洋戦争開始から70年、またその発端ともいえる満州事変の勃発からは80年という節目の年にあたります。現代の日本に生きる私たちの歴史を改めて振り返り、見つめ直すよい機会と言えるのではないでしょうか。
東京都写真美術館では、日本代表する写真家であり、40年近くにわたり、昭和の戦争とその負の遺産を写真で表現しつづけてきた江成常夫の集大成となる写真展「昭和史のかたち」を開催します。江成は毎日新聞東京本社の写真記者を経て、1974(昭和49)年よりフリーランスの写真家として活動を開始しました。その後は一貫して、15年に及んだ「アジア太平洋戦争」のもとで、死と涙を強いられてきた内外の、声を持たない人たちの声を写真で代弁することで、戦後の日本人の現代史に対する精神性を問い続けています。
本展覧会は、代表作である「偽満州国」「シャオハイの満州」「鬼哭の島」に、未発表最新作を含む「ヒロシマ」「ナガサキ」を加えた112点で構成し、現代日本を生きる私たちの歴史を改めて顧みようとする試みです。