写真史上の有名作品からあまり目に触れる機会のない作品まで、時代を超えた魅力を放つ写真作品を「戦争とこどもたち」というキーワードで当館のコレクションからご紹介します。いつの時代も、純真無垢で愛らしい「こども」は多くの人々を魅了し、見たいという気持ちにさせる被写体です。戦火や爆撃によって傷ついた「こども」には、胸が締めつけられる思いがし、戦後復興のなかで一生懸命に生きようとする「こども」のたくましさや無邪気さは生きる勇気を与えてくれます。「こども」という存在は、見る者の心を揺り動かす力のある対象といえるでしょう。
当館コレクションのなかで「戦争」関連の写真作品は、第二次世界大戦やヴェトナム戦争が数多く占め、その周辺も含めると1930年代から1950年代に撮影されています。その時代はまさに、フォトジャーナリズム全盛であり、写真表現の可能性に強い注目が集まった時代でもあります。本展は、写された「こども」のすがたと、激動の今を生きる私たちのすがたとを重ねあわせながら、写真の多様性を模索します。