伊藤慶二は岐阜県土岐市に生まれ、武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)で油彩画を学びましたが、卒業後岐阜県陶磁器試験場にて日根野作三に師事し、陶芸の世界に入ります。そして器を陶芸の基本としながら、同時に陶による自己表現を追求し、最も早い時期から立体造形作品を発表してきました。1970年代から30年以上も続く《HIROSHIMA》シリーズを制作することから出発した伊藤のオブジェは、その後も《沈黙》《尺度》と常に新しい展開を遂げてきました。その活動は初期から現在に至るまで時流に流されることなく一貫した姿勢を保ち続け、常に陶芸を志す者にとって指針となってきました。
また2003年にはパラミタミュージアム開館に伴い、建物正面外壁と1階ギャラリーに作品が設置されるとともに40点を超える作品が収蔵され、コレクションされています。
今回は、本年2月から5月まで岐阜県美術館で開催された「伊藤慶二 こころの尺度」の作品群とパラミタミュージアム所蔵の作品群によって構成し、伊藤慶二の初期から現在に至る半生の軌跡を展示します。