浜口陽三は、20 世紀を代表する版画家の1 人です。1950 年代にフランスに渡ってカラーメゾチントという新しい銅版画の技法を編み出し、この技法を用いた作品によって世界的なコンクールで次々と大賞を獲得しました。
見る人がすっと包み込まれるような、静謐さをたたえた作品は今でも世界中に知られています。
冬のコレクション展では、浜口陽三の銅版画を紹介するほか、少年時代の絵画類を展示します。千葉県銚子市で育った浜口は、「大きな絵より、小さくても真実の絵を描きたい」と小学校の絵の先生に語ったそうです。現存する絵は、水彩や色鉛筆のドローイングで、題材の多くは身近な静物や風景です。中には大正のモダンな風俗を感じさせるモチーフもあり、後の銅版画に通じるような特色も見出せます。未来のある少年の目に重ねるようにしてご鑑賞ください。
小学校時代の作品は25 点ずつ前期、後期に分けて展示します。銅版画約50点と、芸大時代の油彩1 点、最晩年に描いた「かもめ」の油彩(未完成)を展示します。