“吉備の国”岡山は、かつて「書道王国」と称され、現在でも盛況で、また、岡山ほど「かな書」が盛んな県は珍しいといわれています。
古来から机上芸術といわれた書は、戦後日展に書部門が新設されたのを転機に、会場芸術へと変遷を遂げ、書道界に黄金時代を到来させました。特に小字のかな書に、昭和30年代、関西から会場の壁面に映える“大字かな”運動が起こり、以来“西高東低”といわれるほど、関西のかな書壇は隆盛を極めています。
本展では、共に岡山出身で関西書壇の優位をリードした巨匠、田中塊堂・内田鶴雲・石井梅僊、現代書壇の最高峰、伊藤鳳雲・高木聖鶴、山田勝香・西本支星のかな書家7人をクローズアップし、昭和から平成の現代へと、かな作品に新たな可能性を求めて生み出された“かな書の美”56点を一堂に展観いたします。
併せて、県内の実力作家19人を紹介する「岡山県かな書展」を開催いたします。この展覧会が、日本古来の文化である書への親しみを更に深める機会となれば幸いです。