脇村義太郎(1990-1997)は田辺市名誉市民であった父市太郎の長男として現在の田辺市に生まれ、旧制田辺中学、旧制第三高等学校、と今日帝国大学経済学部を卒業後、同大学教授、教授などを歴任。その間、船員中央労働委員会会長などをはじめとする多くの政府関係機関の役職を務め、戦後復興期における経済関係のブレーンとして人材育成に努め、神奈川県立近代美術館や東京都美術館をはじめとする多くの美術館の運営に関与しました。また、戦後からその大半を過ごした神奈川県の逗子や鎌倉で多くの文人や画家と交流を深め、自身作品を収集するなど美術に対する造詣の深さを示しました。
脇村禮次郎(1904-1988)も同じく市太郎の次男として田辺市に生まれ、旧制田辺中学、東京商科大学(現在の一橋大学)を経て三菱銀行に入行。その後、第一線を退くまで実業界の重鎮として多年にわたり活躍していました。美術に関しても、実兄の義太郎と同様に早くから関心を持ち、ニューヨーク在勤時には積極的に美術館を巡って展覧会を観覧、帰国後は美術作品の収集にも力を入れ、鎌倉市に在住してからは多くの文人や美術学者、画家たちとも交流を深め、自己の美術鑑識の眼を養っていきました。
本展覧会では、美術研究家・愛好者として類まれなる見識や探究心を発揮した両氏が生前収集した多岐にわたる美術作品を、当館に寄贈または寄託されているコレクションを中心に展示し、二人の卓越した鑑識眼と美術への思いを紹介します。
※会期中、展示替えがあります。
前期:4/5~5/15
後期:5/24~7/3