久米桂一郎の教え子のひとりである曽我英彦は99歳に至るまで、風景・人物・静物など多岐にわたる油絵画を制作しましたが、それらのもととなるスケッチもまた数多く残しています。
旅先で出会った人々、敬愛する先人の画家たちが描いた風景、自宅の庭の草花…など、軽妙ながら繊細な筆触で表し、温かみをもった愛すべき小作品として完成させています。それらは、曽我英彦の日々の暮らしや旅先での様子を生き生きと伝え、また対象物へ注がれたまなざしや愛情を直接に感じ取ることができるものです。
本展では、曽我英彦のヨーロッパ各地でのスケッチを中心に、そこに書き込まれた文章や思い出の言葉なども添えて、描かれたその場所や時間、空気といったものを、私たち鑑賞者も共有できるような展示とします。