ヴァンジ彫刻庭園美術館では、現代美術作家、山口晃と竹崎和征が、「東海道」をテーマにした、二人展を開催いたします。
山口晃(1969-)は、武士や現代人、馬やメカなど、今昔の風物が同一面に描きこまれた大和絵風の細密画で知られています。現存する土地の記号からたちあがる、架空の景観は、想像力の広がりと歴史の重なりを、ユーモアを込めて俯瞰します。その卓越した技法と、近代批判の精神、過去の様式を自在にとりこむ造形により、国内での評価はもとより、近年海外での発表が相次いでいます。
竹崎和征(1976-)は、記憶の断片としてのイメージや事物を、平面をこえた次元に配しながら、時間と距離軸の異なるもの同士がもたらす作用を探ってきました。その場所に行き、とらえた事象の、ゆるやかなつながりやうつりかわりを、絵画の間合いとして構築します。本展では、三島界隈に滞在し、その空気を肌で感じながら制作した作品を発表いたします。
かつての東海道は、現在の高速道路、新幹線へと姿を変え、流通網と情報網の発達により、地方はますます均質化しつつあります。
山、水、風、街…一見同じような表層にひそむ風土の、豊かな相の切れ端を、作家たちはどのようにとらえるのでしょうか。
幾多の時をつみあげて、その先に交錯する、未知なる風景をどうぞご覧ください。