小さく折りたためる扇は、古代の日本で発明されたといわれています。やがて中国を経て、16世紀にはヨーロッパにもたらされました。そしてかの地の文化にあわせた、さまざまな意匠や素材の扇が製作され、時代によって流行も生まれました。
ヨーロッパにおいて、扇は貴婦人たちのよそおいに欠かせない装身具でした。ファッション性のみならず、扇を手にすること自体がたしなみとされ、またそのしぐさは社交上の作法でもありました。
本展覧会はポーラ・コレクションより、18~20世紀のヨーロッパで用いられた扇を約60点展示し、贅を尽くした素材と精巧な技術により作り上げられた扇の美を紹介するものです。また、ファッション・プレート(当時のファッション誌の挿絵版画)もあわせてパネル展示し、扇と女性のよそおいの変遷もたどります。
日本に発祥しながら、遠くヨーロッパの地であでやかに花開いた扇の魅力をご堪能ください。