数々の舞妓を発表して日本画壇に衝撃を与えてきた日本画家・石本正(90歳)。
石本は、1960年代前半、岸田劉生にあこがれて舞妓を描き始めました。描かれる舞妓は、田舎から京都に出てきたばかりのような田舎娘の素朴さを失わない娘でした。「顔は真白く化粧されているが、手などにはまだ浅黒さが消えていない」洗練されない魅力を描こうとしたのです。
それ以来、彼は長年舞妓や芸妓を描いてきました。石本は「私は、きらびやかな着物を着た舞妓の洗練されない魅力、哀愁のようなものを描きたいと思っていた」と話します。
祇園にはもう何十年も行っていませんが、楽しかった思い出が舞妓を描かせてくれます。石本の描く舞妓は全て想像です。着物の柄も彼が独自に創り上げたものです。
本展では、このほど新たに収蔵された1970年代の舞妓像を始め、初公開の作品を含む約50点を展示します。様々な京おんなを描いた作品とともに、一人の日本画家の人生をご覧いただけたら幸いです。