大阪は、古くから海上交通の要所として栄え、江戸時代には経済の中心地として河川や堀川などの水運路を発達させてきました。水が景観の要であり、水と深いつながりがある都市といえます。
大阪市が整備を進める近代美術館も、「水都」大阪のシンボルである中之島を整備予定地としています。昨年11月に『大阪市立近代美術館整備計画(案)』を発表し、「水辺の文化都心」中之島の拠点施設として「大都市で暮らす楽しさ、豊かさを実感できる美術館」の実現をめざしています。こうした縁もある「水」が、今回のテーマです。
この展覧会では、大阪市立近代美術館のコレクションを中心に、19世紀から現代までの国内外の作家による、水を題材とした絵画、写真、彫刻、版画など、約60点を展示します。展覧会は2章から成り、第1章では水面のきらめきや波のリズムなど、水そのものの魅力に迫り、第2章では船や港、川の流れる街景など、生活の場としての水の風景に注目します。
異国の大海原から、大阪の街中を流れる堀川まで―――さまざまな水のイメージによって、水と美術、そして大阪との深く豊かな関係に触れていただければ幸いです。