四季の変化に富んだわが国では、人々の生活は古来よりその移り変わりに寄り添いながら営まれてきました。
旧暦のこよみを見れば、一月の立春から十二月の大寒まで、一年には二十四の節気が設けられ、季節の節目を大切に重ねられてきた祖先の暮らしがしのばれます。
絵画においては、雪月花に代表される自然の風物はもとより、例えば正月の松飾、雛祭りの雛人形、端午の節句の兜など、年中行事を象徴する題材が好んで採り上げられ、数多くの作品が作られてきました。
今回資生堂アートハウスでは日本人の季節感に深く根ざした日本画の中から、春から夏にかけての景色や風物を描いた作品約24点による展覧会を開催いたします。出品作家は文化勲章受章者を中心に、横山大観、奥村土牛、上村松篁ら資生堂が1947年から主催してきた「椿会美術展」に足跡をのこした10名です。
アートハウスの会場で、春から夏へと移り変わる季節を絵画のなかで楽しんでいただければ幸いです。