『屏風絵』の基本型は広げると約7mもの横幅となります。世界に凡そ類を見ない、大型の独立した平面芸術といえましょう。しかも屏風は本来実用品であり、風よけや間仕切りの用を持つ生活の具でした。これに色彩や図様の変化を加えて室内空間を演出、さらには純粋な鑑賞画へとその大画面を堂々と成立させた構成力とデザイン感覚は、日本美術の最も誇るに足る一面と思われます。ここでは屏風絵の中でも特に斬新な意匠や色遣いが際立つ装飾的な作例を中心に陳べました。花鳥・山水・人物と、大画面を自在に構築する大らかで優美な情景をご堪能ください。
●主な展示品●
「桜に杉図」 伝藤原光信筆 桃山時代
「宮楽図」 桃山時代
「平家物語扇面散らし」 桃山時代
「秋草図」 住吉如慶筆 江戸時代
「網代に葡萄図」 江戸時代
「桜図」 江戸時代
「松竹に鶴・柳に猿図」 狩野探幽筆 江戸・寛文7年
「賀茂競馬・宇治茶摘図」 久隅守景筆 江戸時代(重要文化財)
「槙に鷹図」 江戸時代
「杉図」 江戸時代
「奔潭」 川合玉堂筆 昭和4年
「淀の水車」 宇田萩邨筆 大正15年 ほか