現代の日本に息づく普遍的な日常とその源泉を探求するため、今岡昌子は国内最初の本格的な取材地として九州を選び移り住みました。大陸に近くさまざまな人や物が往来する九州。個々の知恵と技術の集約による地域力をたどるとき、痛烈に感じたのが人々の心に宿る土地への愛情「トポフィリア」でした。本展では、今岡昌子が九州へ移住した後に撮影したカラーとモノクロの作品約50 点を通じ、九州全体を未来へと牽引する力の原像に迫ります。また、本展は企画の段階から作品における作家性を重視しており、今岡昌子の新たな一面に触れることができる内容となっています。さらに、3 月には九州新幹線全線開業を迎え、人と物の往来がますます盛んになる九州にとっても、本展が新たな魅力を発見する機会になることを目指しています。
●作家プロフィール●
今岡昌子(いまおかまさこ)
1965 年神奈川県生まれ。1999 年に東レを退社後、ドキュメンタリーを中心とした写真家として活動を開始。「再生」をテーマに途上国の紛争地や被災地などを取材し作品を発表。2008 年から拠点を熊本県芦北町に移し精力的に取材を行いながら写真文化の普及にも務めている。「SSF アワード賞」(2001年)、「さがみはら写真新人奨励賞」(2002年)、「東川新人賞」(2007年)など受賞歴多数。「re・birth~ガレキの隣のオンナたち」(2001年/コニカプラザ)、「Into Herself~アフガニスタンの生きる力」(2003年/コニカプラザ)、「茶馬古道-The Ancient Tea-Horse Road」(2008年/オリンパスギャラリー)など個展開催。『re・birth~ガレキの隣のオンナたち』(2003年/窓社)、『天山南路~Around the Taklamakan Desert』(2005年/冬青社)出版。