藤田ミラノは、1950~60年代の『女学生の友』『ジュニア文芸』『コバルト・ブックス』の表紙・口絵に抒情画を描いて人気を博しました。
「ミラノの少女には、独特の香気があった」とファンが語るように、彼女が描いた少女たちは、ただ美しいだけではなく、毅然とした強さを持ち、孤高ともいえる気品を漂わせていました。
日本での仕事に行き詰まりを感じ、1970年代パリに移り住んだミラノは、ヨーロッパでポスターを制作し、それは世界中の人々に「不思議な美しい絵」と評され、愛されました。日本画の鍛錬による線の美しさと静寂な雰囲気が、他国の人々にとっては新鮮な驚きだったのでしょう。
本展では、『ジュニア文芸』『コバルト・ブックス』の初公開原画を多数展示するとともに、パリ時代の作品も紹介し、ミラノの全貌をご覧いただきます。