大阪で料亭を営む家に生まれた青山政吉は、幼い頃より絵を好み、京都市立絵画専門学校で日本画を学ぶかたわら、黒田重太郎のもとで洋画を学びました。1954年に滞欧を果たし、二紀会の同人になりましたが、退会後は美術団体には所属せず、やがて水彩による風景画を描くようになります。日本画にも洋画にも相通じるところのある水彩画は、両方の技法の接点を追求してきた青山政吉にとって、日本画の繊細さと洋画の緻密な構成力を存分に発揮できるものでした。
1974年には「近畿百景」シリーズが始まり、やがて代表作となる「万葉百景」「日本百景」へと繋がっていきます。現地での制作にこだわり、日本中を旅して描いた風景の数々は美しい色彩にいろどられ、穏やかに四季の美しさをたたえています。
このたびの展覧会は、当館が2009年度に「万葉百景」ならびに「日本百景」の寄贈を受けたことを記念して開催いたします。滞欧作など公開されることの少なかった他の作品もあわせ、青山政吉の知られざる水彩画の魅力に迫ります。