古来より人々の暮らしに深く関わってきた動物の姿は、これまで多くの画家によって作品に描かれてきました。身近な存在の犬や猫はもちろん、家畜である牛や馬、野生の猿や狐などさまざまな動物が絵の中に登場しており、「動物画」は日本画の重要なテーマとして親しまれてきました。明治以降、近代日本画家たちは、日本や中国の古画研究を熱心に行い、西洋画の写実表現を取り入れるなど新たな表現を試みました。さらに、画家たちは、自宅の庭で多くの動物を飼い、あるいは何度も動物園に通うなど、動物の生態を深く観察し、また慈愛に満ちたまなざしを注いでいます。そして動物に対する画家の愛情や深い精神性を込めた名作が次々と生み出されました。
本展では、当館所蔵の近代日本画家たちが描く動物画を一堂に展示いたします。動物画の大家である橋本関雪をはじめ、竹内栖鳳や榊原紫峰、山口華楊らが描く生命感あふれる動物の姿や動物たちにそそがれた画家のまなざしをご覧ください。