当館所蔵の旧侯爵木戸家資料(孝允(たかよし) ― 正二郎(しょうじろう) ― 孝正(たかまさ) ― 幸一(こういち) 4代にわたる資料群)は、1984年から1998年にかけて寄贈を受けたものですが、簡単な仮目録があるだけで、長らく本格的な整理がされないままになっていました。平成13年度から客員教授や資料調査プロジェクトのメンバーによって整理・目録作業を進め、今回ようやくそれが終了し目録「旧侯爵木戸家資料目録」刊行の見通しがつきました。そこで、目録による資料の全面公開に合わせ展示を行います。今回は、1万5千件に上る厖大な資料の中から最も視覚に訴える資料として、写真資料に絞って紹介します。幕末・明治初年から昭和戦後期まで長期にわたり撮影されたもので、主として木戸家の人々が被写体となったものです。総数は5,241件に達しますが、その中から特色ある写真をピックアップします。
柱となるのは、ガラス板写真や欧米で写された岩倉使節団関係のアルバムなど、木戸孝允に関わる幕末・明治初年の写真。海外留学の後、夭逝した木戸正二郎の写真。明治・大正期の華族の暮らしぶりを伝える孝正夫妻や少年時代の幸一らの家族写真。昭和戦前期は天皇の重臣として、また戦後は東京裁判の被告としての木戸幸一が写された写真などです。木戸家という、日本の近現代史の中で大きな位置を占めた一家族の公私にわたる足跡を画像でたどることで、歴史資料としての写真の有効性を提示できると考えています。