世に大正ロマンを代表する画家として知られる竹久夢二(1884-1934)。
彼の創造した甘美な女性像は、また夢二式美人と呼ばれ今なお多くの人々に愛され続けています。「写実の手掛かりがなければ絵が描けない」と洩らした夢二には、その都度生活を共にする女性たちが、創作のインスピレーションを与えてくれる美神とも言える存在でした。彼女らの存在は彼にとって、自分の生きた時代を写す鏡でもありました。
本展では、竹久夢二の前半生、早稲田実業での苦学生時代から他万喜との結婚、〈画家・夢二〉誕生へと続く明治期の画業から、日本画の伝統が息づく京都への移住によって夢二式美人画を完成させた大正前半期までを作品と資料で辿ります。夢二が最もドラマチックに生きたこの35年間の足跡に、私たちは、時代に忠実に生きた一人の画家の姿を見出すことができるでしょう。
展示コーナーと出品作品の紹介
○挿絵画家デビューの頃 ~夢二誕生~
初期水彩画、『光』『直言』掲載諷刺コマ絵、女性向け雑誌表紙・口絵、『夢二画集』シリーズ他
○夢二式美人の登場
初期日本画(明治末~大正初期)著作本・装幀 本、書簡、写真資料など
○京都時代
日本画(夢二式美人画)、水彩画、デッサン、日記、遺品など