当館では「版元の世界」展として、過去2回にわたって寛政期?(1789~1801)?、文化・文政期?(1804~1830)?の版元(浮世絵・版本の出版元)の動向や出版界の様子などを紹介してきました。シリーズの3回目となる今回は天保・弘化・嘉永期(1830~1854)の出版界にスポットをあてます。天保の改革に伴う出版統制や出版物の変化のほか、流行の出版物などについても浮世絵・草双紙などを通して紹介します。改革前、規制の少なかった頃に流行したものとして葛飾北斎の富嶽三十六景や歌川広重の東海道五十三次の一部を、改革の影響を受けたものとして、猫の顔をした戯画風の役者絵など、歌川国芳の作品を展示し、その当時ならではの浮世絵のおもしろさをお伝えします。