本展は、文明の営みゆえに、地球上から多くの森が失われつつある現在、「人間にとって森とは何か」という問いかけを、さまざまな領域の作品によって浮かび上がらせようとするものです。
森は人間の故郷であり、生活資源の宝庫であるばかりでなく、聖なる場所、超自然的なものの住み処でもありました。人間は農耕と牧畜をおぼえ、みずから森を失ってゆく運命を背負いましたが、一方ではそれゆえにこそ森への「ノスタルジア」を育て、芸術や宗教や文化のなかに、その刻印をのこそうとしていたのではないかと考えます。
私たちは本展を通じて、「森」そのものを新しい視点からとらえなおし、美術作品・写真・工芸品・絵本・博物標本など、総点数約200点によって、その意味と重要性について考えていきます。