中村研一記念小金井市立はけの森美術館は、財団法人中村研一記念美術館より作品・建物の寄贈を受けて2006年春に開館しました。開館5周年を記念して、コレクションの中心である洋画家・中村研一(1895-1967)の画業を、初期から第二次世界大戦までと、戦後小金井に居を構えてから晩年までの2章で構成してご紹介します。
中村は、東京美術学校卒業後まもなくから情感を抑えた堅実な写実描写で高く評価され、帝展、新文展等で受賞を重ねました。その実績から、戦時中は軍から戦争記録画の制作を依頼されます。1945年、空襲でアトリエと多くの作品を消失した後、中村は小金井に転居し、緑と水に恵まれたこの地で最期まで創作活動を続けました。
当館にはかつての中村の住居や庭、愛用の品々が残り、またそれらを描いた作品も多く所蔵されています。画家の制作と生活の記憶をとどめるこれらのモティーフを、作品とともに紹介する小特集を設けます。さらに、2006年以降に収蔵された中村の作品を紹介するコーナーや、開催展覧会のポスター展示を通して、市立美術館として再出発してからの5年間を振り返ります。